唐物小丸壺茶入 (からものこまるつぼちゃいれ)

足利義政所持 南宋時代 高2.6 胴径2.6 底径1.9
付属:青貝盆 慈照寺蔵

 

慈照寺の開基、足利義政公遺愛の茶入と伝えるこの茶入は、その愛らしい風情がひとしおである。正面に薄い釉流れがあり、ひとつの見どころとなっており、小堀遠州筆の〈東山殿唐物肩衝覚〉(ヒガシヤマドノカラモノカタツキオボエ)の中の9番目に筆写されている。 これを見ていると、晩年の義政が東山山荘の一室同仁齋で、独り静かに一服の茶を楽しんでいる姿が目に浮かぶようである。政治に失望し、風雅を愛した義政の、掌中の珠のごとき名品である。