夢窓疎石墨蹟「別無工夫」
開山夢窓国師の墨蹟は、今知られているだけでも約50点ほどあり、他にもかなり伝わっている。中でも一行書は十数点が数えられるが、なかんづくこの「別に工夫無し」の一行書は国師墨蹟中の雄作として知られる名幅である。夢窓は正安元年(1299)25歳の時、建長寺の一山一寧に参じた。一山は、宋の名筆顔真卿の書法を取り入れ、特に草書に優れており、夢窓はその一山の影響をうけ、行、草書に優れたものを残している。