無学祖元墨蹟「与長楽寺一翁偈語」

 

弘安二年(1279)北条時宗の請に応じて来朝、鎌倉建長寺に住し、また円覚寺の開山となった無学祖元は、初期日本禅宗史に大きな足蹟をしるした一人である。
祖元来朝の年十月、かつて中国径山無準禅師のもとで同門であった一翁院豪が訪ねて来て、祖元と問答をかわしたが、その時の実に堂々とした答えに祖元は大いに喜び、そのありさまを普く大衆に告知するために書かれたのがこの偈語で、品格においても、気力の点においてもまさに抜群の名幅である。