翡翠図(かわせみず)
ぽってりと滲む墨と、画箋紙という用紙を生かした水墨画である。画箋紙は中国特産(当時)の特殊な紙で、線と線との境界が白く残る性質があるとされる。この性質を生かして輪郭を描かずモチーフの細部を描き分ける、筋目描とも呼ばれる技法は若冲の得意としたもので、ここでの芦葉にも発揮されている。画面上部に若冲の親友で相国寺第113世住持となった梅荘顕常(大典禅師)が詩を題している。
蘆花深処無人見 一片飛来棲止安