鳴鶴図(めいかくず)
文正(ブンセイ)筆 明治時代 双幅(右幅)
縦181.3 横85.2 相国寺蔵
文正は明初期の画家で泉石と号し、花鳥画の名手として知られる。これは当相國寺第六世絶海中津が港武九年(1376)中国留学を終えて帰国の際請来したもので、足利六代将軍義教が相國寺参詣のおり、方丈に掛けて鑑賞した記録が残る。
また古来より名幅として知られ、日本の各時代の画家たちの手本となり、同様の双鶴図が各時代描かれ続けた。
右幅は画面右上に「赤壁横江」と題され、画面中央で脚を伸ばし両翼を広げて飛翔する鶴を描く。広げた翼の描く曲線を縦に切る背景の断崖の線が画面に緊張感を与え、真下に迫る波のカーブが鶴の姿と見事に呼応している。